2013年06月05日

皇居のお堀と透明度

6月5日 朝日新聞夕刊の記事からです。

桜田堀 なぜかきれい

皇居を囲むお堀の中で最も大きい「桜田堀」の水質がこのところ目立って良くなっている。
専門家にもはっきりとした理由は分からないが、気象の変化をきっかけに水草が爆発的に増えたのが一因との見方がある。

皇居周辺のお堀は道や橋で分かれ、水は水門や水管でつながっている。
皇居を取り囲むようにあるのは12か所(計37ヘクタール)。
際立って浄化が進んでいるのは、警視庁や最高裁判所に面した桜田堀(9.6ヘクタール)だ。

夏場の透明度を比べると、1992年に26センチだったのが、昨年は140センチに改善。
道端からのぞくと茶色の水草が群生し、明るい緑色の藻がついた様子が見える。
深緑色に濁った他の堀との違いは明らか。
たとえば、桜の名所で知られる千鳥が淵の透明度は92年が45センチ、昨年が30センチだ。

水質を示す三つの指標である化学的酸素要求量(COD)と全リン、全窒素も改善されている。
水を汚す有機物を分解するのに必要な酸素量を示すCODは、値が小さいほど水がきれいとい言える。
桜田堀では92年の1リットル中19.4ミリグラムから、昨年の同8.6ミリグラムに値が減っている。

密生している水草は「エビモ」。植物プラントンの発生を抑え、水をきれいにする力があるという。
桜田堀で水草が目立って増え始めたのは2011年夏。
絶滅危惧種の「ツツイトモ」が大発生し、ゴミが引っかかって見えが悪いとの苦情が相次いだ。
10年の夏にほとんど雨が降らず、高温傾向が年末まで続いたのをきっかけに、11年春、エビモの繁殖が抑えられ、代わりにツツイトモが異常繁殖したのではないか、という見方だ。
この間の透明度は10年の80センチから、11年には150センチと劇的に変化している。

閉じた環境にあるため、ちょっとしたきっかけで種の調和が極端に崩れることはありうる。
お堀の濁った水は以前から問題になっていた。
玉川上水から取水して飲み水を作っていた淀橋浄水場の水が皇居のお堀に入り、お堀から下水道に流れていたが、1965年淀橋浄水場が閉鎖。お堀には雨水だけが入り込むようになったうえ、大雨で下水道の水があふれるとお堀に入る仕組みだったためお堀の水質悪化は進んだ。
環境省は95年、粒子状のプラスチックに汚れを吸着させる浄水施設をお堀全体に導入。
水草を食べさせるために50年代以降お堀に離したソウギョが減ったこともあり、水草が増える下地はあったという。

ただ、謎は残る。
11年にツツイトモの大繁殖で始まった水草の隆盛だが、今年圧倒的に目立つのはエビモ。
両者のバランスにまた何か変化が起きているのかもしれない。
桜田堀だけ浄化が進む理由も不明だ。
水がうまく循環するだけの十分な広さがあるからではないかと推測する。

環境省は4月、汚れを砂とともに沈殿させる新たな浄水施設をお堀全体に導入した。
現在、東京都は下水道の放流先を他へ移す工事を進めており、15年度ちゅうに完了予定という。

桜田堀の浄化はまだまだ進むのかもしれない。



posted by バスター at 23:41| Comment(0) | 「水」と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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