2013年07月23日

北極海の氷、減るとどうなる?

7月20日 朝日新聞 夕刊 ニュースのおさらい ジュニア向け からの記事です。

今までで一番狭い面積に

北極海の夏の海氷は1980年ごろから減り始めて、ここ10年解ける量が多くなってきている。
人工衛星で観測を始めた79年から2000年までの9月の海氷面積の平均は670平方キロあったが、昨年は、341平方キロになった。観測史上、最少の記録だ。

原因は二酸化炭素などが増えて、温度が上がる地球温暖化だ。
海水温も上がって北極海の氷が解ける。白い氷は太陽の光を反射するが、氷が解けると海面が出て、太陽光を浴びて海水はさらに暖まる。氷はできにくくなり、できても解けやすい。こうして海氷は減り続けてしまうわけだ。

一方、南極の氷は減少がはっきり確認されていない。北極海のこおりが海に浮かぶ薄い氷なのに対いて、南極の氷は大陸の上にあり、厚さは平均約2千メートルもある。地球上の氷の9割もの量があって、簡単に解けない。

気象に変化 船は近道

「このままいくと、30~50年後には夏の北極海に氷がなくなってしまう」多くの研究者はそう考えている。

海氷が変わると、海や沿岸の生き物も影響を受ける。エサが取れる場所が変わって、住む場所が変わったり、生息数が増えたり減ったりするかもしれない。

気象は変化が出始めている。海面が出たり氷におおわれたりすることによって、その上の大気の流れが変わるからだ。北極周辺だけでなく、影響は広くに及ぶ。北極の海氷が小さくなると低気圧の通り道が変わって、日本の冬が寒くなるという研究も報告された。さらに海氷が減っていけば、異常気象にもつながっていくかもしれない。

心配ばかりではない。
ほっきょくの海氷が消えると、船が通れる「近道」ができると期待する人たちもいる。
東京から欧州に船で行くのに、アフリカ大陸の南端をまわると約2万8千キロ、スエズ運河を通っても2万キロ以上だが、北極海を通れば1万3千キロですむ。
昨年は氷がなくなったロシア北部沖を通って、船が46回も行き来した。

さらに詳しくはこちらから 北極海航路(ウィキペディア)



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2013年06月23日

バラスト水と外来種

6月22日 朝日新聞be(土曜日版)からの記事です。

船のタンクに入って世界中を移動

船がバランスを保つために、タンクに入れて運ぶ「バラスト水」(ウィキペディア)が生態系を壊すとして問題になっています。
船は荷揚げすると軽くなるので、その代わりの「重し」として、港の水などを「バラストタンク」に入れます。この時混じりこんだ生物が、寄港先でバラスト水と一緒に排出され、外来種として定着してしまう恐れがあるのです。

バラスト水で運ばれたとみられる悪名高い生物の一つが、クシクラゲ類(ウィキペディア)です。黒海で1980年代に増えて問題化し、その後カスピ海などでも大発生しました。もともとは北米の沿岸に生息していたこのクラゲは、魚のえさとなる動物プランクトンを食い荒らし、魚の卵なども食べてしまいます。このため、漁獲量の減少を招き、漁業に打撃を与えたと指摘されています。
このほかカニや貝類などの生物も、幼生がバラスト水に混じるなどして世界各地に運ばれ、外来種化した疑いがもたれています。

日本とオーストラリアを結ぶ貨物船のバラストタンクを調査した結果、赤潮を発生させ、養殖魚を殺す有害植物プランクトン「シャットネラ」(ウィキペディア)がタンク内の泥から1キログラムあたり140個も見つかりました。
これらは、船がバラスト水を排出する時、一緒に外部に出る恐れがあるといいます。バラスト水自体からも、カキなどの二枚貝を毒化させ、人の健康を害する「まひ性貝毒プランクトン」も検出されています。一方、貨物船のタンクから採取したバラスト水を培養してみると、外来種として海外で問題になっているアオサ類(ウィキペディア)の海藻が、実際に生えてくることが確認されました。

東京湾で国際航路の船が排出するバラスト水は年間400万トン。一方東京湾から海外に運ばれる量はさらに多く、8900万トンにものぼります。また、別の推計では、世界中で移動するバラスト水は年間30億〜50億トンと報告されています。

バラスト水によって生物が本来の生息地でない場所に運ばれるのを防ごうと、国際海事機関は04年「バラスト水管理条約」(ウィキペディア)を採択しました。国際航路の船が排出するバラスト水に含まれるプランクトンや細菌などの量を、基準値を設けて規制する内容です。
日本はまだ批准していませんが、すでに36カ国が批准しました。批准国の商船合計総トン数は世界の29.07%。これが35%以上になれば、1年後に条約が発効します。

日本や欧州などのメーカーがバラスト水を処理し、含まれる生物の量を基準値内にする装置を開発、実用化しています。オゾンや紫外線にさらす、殺菌剤を入れるなど、さまざまな方法があります。
条約の発効をにらみ、対策を前倒しする動きも出ています。設置費用は「船の大きさにもよるが1〜2億円」と言います。船会社にとって決して軽い負担ではない。ただ条約は2015年前半にも発効する可能性が高い。環境配慮もふまえ、先取りしてバラスト水対策を進めているそうです。

船による輸送が日本の貿易に占める割合は、輸出が99.1%、輸入が99.8%(2011年重量ベース)
航空機による物流が盛んな現代ですが、輸出入を支える「主役」は今も船舶です。
つまり、船のバラスト水の問題は、私たちの日々の暮らしにも大いにかかわりがあるのです。



posted by バスター at 07:27| Comment(0) | 「水」と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月05日

皇居のお堀と透明度

6月5日 朝日新聞夕刊の記事からです。

桜田堀 なぜかきれい

皇居を囲むお堀の中で最も大きい「桜田堀」の水質がこのところ目立って良くなっている。
専門家にもはっきりとした理由は分からないが、気象の変化をきっかけに水草が爆発的に増えたのが一因との見方がある。

皇居周辺のお堀は道や橋で分かれ、水は水門や水管でつながっている。
皇居を取り囲むようにあるのは12か所(計37ヘクタール)。
際立って浄化が進んでいるのは、警視庁や最高裁判所に面した桜田堀(9.6ヘクタール)だ。

夏場の透明度を比べると、1992年に26センチだったのが、昨年は140センチに改善。
道端からのぞくと茶色の水草が群生し、明るい緑色の藻がついた様子が見える。
深緑色に濁った他の堀との違いは明らか。
たとえば、桜の名所で知られる千鳥が淵の透明度は92年が45センチ、昨年が30センチだ。

水質を示す三つの指標である化学的酸素要求量(COD)と全リン、全窒素も改善されている。
水を汚す有機物を分解するのに必要な酸素量を示すCODは、値が小さいほど水がきれいとい言える。
桜田堀では92年の1リットル中19.4ミリグラムから、昨年の同8.6ミリグラムに値が減っている。

密生している水草は「エビモ」。植物プラントンの発生を抑え、水をきれいにする力があるという。
桜田堀で水草が目立って増え始めたのは2011年夏。
絶滅危惧種の「ツツイトモ」が大発生し、ゴミが引っかかって見えが悪いとの苦情が相次いだ。
10年の夏にほとんど雨が降らず、高温傾向が年末まで続いたのをきっかけに、11年春、エビモの繁殖が抑えられ、代わりにツツイトモが異常繁殖したのではないか、という見方だ。
この間の透明度は10年の80センチから、11年には150センチと劇的に変化している。

閉じた環境にあるため、ちょっとしたきっかけで種の調和が極端に崩れることはありうる。
お堀の濁った水は以前から問題になっていた。
玉川上水から取水して飲み水を作っていた淀橋浄水場の水が皇居のお堀に入り、お堀から下水道に流れていたが、1965年淀橋浄水場が閉鎖。お堀には雨水だけが入り込むようになったうえ、大雨で下水道の水があふれるとお堀に入る仕組みだったためお堀の水質悪化は進んだ。
環境省は95年、粒子状のプラスチックに汚れを吸着させる浄水施設をお堀全体に導入。
水草を食べさせるために50年代以降お堀に離したソウギョが減ったこともあり、水草が増える下地はあったという。

ただ、謎は残る。
11年にツツイトモの大繁殖で始まった水草の隆盛だが、今年圧倒的に目立つのはエビモ。
両者のバランスにまた何か変化が起きているのかもしれない。
桜田堀だけ浄化が進む理由も不明だ。
水がうまく循環するだけの十分な広さがあるからではないかと推測する。

環境省は4月、汚れを砂とともに沈殿させる新たな浄水施設をお堀全体に導入した。
現在、東京都は下水道の放流先を他へ移す工事を進めており、15年度ちゅうに完了予定という。

桜田堀の浄化はまだまだ進むのかもしれない。



posted by バスター at 23:41| Comment(0) | 「水」と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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