2013年07月14日

水辺の環境ガイド


水辺の環境ガイド―歩く・読む・調べる

<人と川>
川は、もともと私たちの暮らしと密着した身近な水辺であった。
しかし、明治時代の中ごろから始まった「近代治水」によって、多くの河川が堤防で囲まれたコンクリート護岸となり、無機質で冷たく近寄りがたい存在になってしまった。
ここ数年、たとえば1997年の河川改正法や、2001年の水防法改正に見られるように、私たちと川の関係の見直しが進められつつある。
すなわち、河川管理の目的として従来の「治水」と「利水」に加え、新たに「河川環境」(水質・景観・生態系)の整備と保全が組み込まれた。

<水辺の公共事業>
巨大公共工事に対してさまざまな批判がある中、依然として、ダム・河口堰・放水路・干拓など大規模な土木工事が計画、実施され、日本では、川や湖,海岸の水辺環境は大きく脅かされている。しかし、1990年代から幅広い市民運動や国の公共事業見直しの中で、そのような巨大開発事業の一部が中止、縮小されるような例も見出されるようになった。

<環境の多様性>
国土におけるさまざまな開発行為によって傷ついた河川・湖沼・湿原・干潟・里山などの自然環境の再生を目指して、2003年「自然再生推進法」が施行された。その視点として、1、地域に固有な生物多様性の確保、2、多様な主体の参加・連携、3、化学的知見に基づいた長期的、順応的対応があげられている。
これまでも、「自然に優しく」と称して、「親水護岸」「植生復元」などが一部で行われてきたが、画一的な対処療法で終わるのでなく、各地域の環境(自然環境・人文・社会環境)の多様性を重視した姿勢が問われる、

<生き物との共生>
1992年の地球サミット(国際環境開発会議)では、それまでの野生生物保護の枠組みを広げ、広く地球上の生物多様性を保全し、生物資源の持続的利用や、利用にもとずく利益の公正、公平な分配を目指して、「生物多様性条約」が調印され、翌年発効した。日本ではこの条約をふまえ、1995年に「生物多様性国家戦略」を決定し、2002年に見直した。そこでは、生物多様性の危機として、1、人間活動や開発による直接的な種の絶滅や生態系の破壊、2、人為的な働きかけによって維持されてきた里地・里山・溜池・水路・水田・牧草地などに特有な生物や生態系の縮小、消滅、3、外来種による生態系の攪乱の3つが明示されている。

<地球規模の環境変動>
20世紀中の気温上昇量は0.6℃でさらに2100年までには、1.4〜5.8℃上昇されると予想されている。海面もすでに過去100年の間に10〜25cm上昇しており、2100年までに9〜88cm上昇すると予想されている。
このような、気温や海面の上昇は、重要性が増している世界の水資源に大きな影響を及ぼし、エルニーニョ・台風・高潮の発生頻度や規模の変化などを通して、沿岸域に大きな影響を及ぼす。
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2013年06月10日

みずものがたり


みずものがたり―水をめぐる7の話


1 水と地球
太陽系の中で、液体の水が豊富にある惑星は、ただ一つ。
火星は太陽から遠すぎて、水は凍りついている。
金星は太陽に近すぎて、すべての水が蒸発してしまっている。
奇跡ともいえる絶妙のバランスで、この水の惑星は存在している。

地球上の水の総量の97.4%は海などの塩水で残り2.6%が淡水だ。
しかも、その4分の3は氷河や南極の氷で、人間が直接利用することはできない。
4分の1が地下水で、残り100分の1が湖や川など地表でよく目にする水だ。
私たちはこの貴重な水を他の生命と分け合って暮らしている。

2 水のふしぎ
水の分子(H₂O)は一つの酸素原子(O)が、2つの水素原子(H)を従えた形をしている。
水素原子がプラス、酸素原子がマイナスの働きをして、まるで磁石のように水分子どうしがくっつきやすい性格を持っている。(水素結合)
一つの水分子は、最大4つの分子とくっつくことができ、その結合状態によって、氷(個体)、水(液体)、
水蒸気(気体)に変化する。

3 水の循環
地球上の水は、氷や水蒸気に姿を変えながら、地球全体をぐるぐるめぐっている。
空、海、地面はもちろん、地中や生き物の体の中まで、水のいかない場所はない。
水を動かしているのは、太陽のエネルギー。太陽の熱が地面や海面から蒸発させ、雲を作るところから水の循環は始まる。
1年間に、雨や雪として降ってくる水の量と、蒸発していく水の量は必ずプラスマイナスゼロになる。
大気中の水は10日間ですべて新しい水と入れ替わる。

4 水と生命
生き物は「水の袋」と言っていいほど、体にたくさんの水を持っている。
人間は体の半分以上が水分。体重の2%の水分が失われただけで具合が悪くなり、20%が失われれば死んでしまう。

5 水と人間
「人類の歴史は、水との戦いだった」といえるくらい、水をいかにうまく利用するかは昔から人間にとって大きな課題だった。そのため古くは紀元前からたくさんの治水・利水のアイデアが世界中で生まれた。
しかも多くのアイデアが現在でも使われている。

6 水と気候変更
温暖化に伴う気候変化が世界中の地域の自然と社会に影響を与えているのは明らかだ。
気温が上がると、土の中の水分が蒸発しやすくなるため、干ばつが発生する地域が増えると予想されている。
空気が暖まると飽和水蒸気量が増える。そのため地域によっては、一度に降る雨の量が増えることになる。
氷河や氷床などの万年雪が溶けて海に流れ込んだり、熱で海水が膨張することにより海面が上昇する。上昇した海水が、地下水を汚染することもある。
陸上の11%が氷河など氷におおわれているが、過去100年間におおくの氷河の縮小が観測されている。
海水温の上昇によって、強い熱帯低気圧(台風やハリケーン)が増加している可能性が高い。

7 水の未来
「みずのわくせい」というものの、地球の水はいま非常に危うい状態にあります。
地球的規模でみると水は私たちが考えている以上に限りある資源ですが、世界人口の増加と一人当たりの使用量の増加により需要が急速に伸びているからです。
その一方で、森林の破壊や地球温暖化の影響により、降水パターンなどに変化が起き、利用できる淡水の量は不安定になってきています。
さらに重要なのは、私たちが利用できるのは、きれいな水だけということです。
いくらそこにあっても、汚染された水は使うことができずに、ないのと同じです。
浄化することもできますが、そのためには大変なエネルギーと費用がかかります。
最近のように、肥料も含めて化学物質による汚染が進むと、それを完全に浄化することは難しくなっています。
その結果、本来であれば循環させることで永久に利用できた淡水資源が、利用できなくなるという事態すら生まれているのです。
衛生的な水を利用できない人は、世界で11億人もいます。
すべてを「水に流す」かのごとく、一人が何百リットルもの水を浪費する現在の先進国の水の利用形態は、本当に持続可能なのでしょうか?
地球上の淡水資源はもともと限られたものでしたが、それが地球の表面をうまく循環することによって、多くの生命を支えてきました。
この循環を維持し、自然の供給の範囲で淡水資源を利用するのであれば、私たちは未来永劫その恩恵を得られます。
再生可能であるという水の特性こそが希望であり、それを生かすためにも、他の資源と同様に需要と供給のバランスを一致させる必要があります。
posted by バスター at 23:04| Comment(0) | 「水」の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月30日

水の名前





水の名前

「あとがき」より
日本はモンスーン・アジアの東側にあたり、世界平均のおよそ倍の量の雨が降る。
それらの雨は、やがて二万とも三万本ともいわれる川となって流れ下る。
われわれは、その水を飲料水をはじめとして、農業用水、工業用水に使用してきた。

われわれ日本人は、古くから水のある風景を美しい言葉で表現してきた。
「雨」という自然現象一つとってみても、降る時期や量、降り方などでその呼び名が異なる。
水が豊富であるということは、日本人ならではの自然観と感性を育み、美しい水の名前を生んできた。

この本はそんな「水の名前」を、季語を中心に選んでいるが、そうでないものも含んでいる。
私自身の実感から選びとった言葉もある。
また、写真一点一点についての説明は「水の名前」のイメージを大切にしたいという思いから、あえて省いた。

日本には美しい四季があり、原風景というべき素晴らしい水辺がまだまだある。
そんな美しい日本を楽しんでいただけたらと思う。
そしてこの本がきっかけとなり、日本の水環境や水の価値を再認識していただけたら幸いだと思っている。

内山りゅう(ウィキペディア)という方の写真集です。
上に「あとがき」から引用した文章は、まさに当ブログ『「水」の考察』のコンセプトとぴたりと一致するので感激しました。



posted by バスター at 23:36| Comment(0) | 「水」の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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